暑い夏の日、エアコンの電気代が気になって「送風モード」を使ってみたことはありませんか?
冷房ほど涼しくならないけど、なんとなく風が出てるから電気代も安そう…そんなイメージを持っている方も多いでしょう。
でも実際のところ、送風モードの電気代って一体どれくらいかかるんでしょうか。
冷房と比べてどのくらい安いのか、扇風機と比べるとどうなのか、気になりますよね。
今回は、エアコンの送風モードにかかる電気代を詳しく解説し、さらに効果的な節約のコツもお伝えします。
正しい知識を身につけて、賢くエアコンを使いこなしましょう!
目次
送風モードの電気代はどれくらい?
まずは気になる送風モードの電気代から見ていきましょう。
送風モードは室外機のコンプレッサーを動かさず、室内機のファンだけを回転させる機能です。
そのため、冷房に比べて格段に電気代が安くなります。
1時間あたりの目安
| 一般的な 6畳用エアコンの場合 | 1時間あたり 約0.5円〜1.5円程度 |
| 14畳用の 大型エアコンの場合 | 1時間あたり 1円〜2円程度 |
一般的な6畳用エアコンの送風モードでは、1時間あたりの電気代は約0.5円〜1.5円程度です。
これは使用するエアコンの機種や風量設定によって多少変動しますが、非常に安価であることがわかります。
14畳用の大型エアコンでも、送風モードなら1時間あたり1円〜2円程度。
ちなみに、風量を「弱」にすれば消費電力をさらに抑えることができます。
空気の循環が目的なら、必要以上に強い風量にする必要はありませんからね。
この小さな工夫だけでも、年間を通して考えると結構な節約効果が期待できます。
1日・1か月にするといくら?
では、1日や1か月単位で計算するとどうなるでしょうか。
1時間1円として計算すると、1日8時間使用した場合は8円。
これを1か月(30日)続けても240円という驚きの安さです。
実際には、送風モードを24時間連続で使うケースは少ないと思いますが、それでも非常に経済的ですよね。
夜間の空気循環や、冷房後の内部乾燥に使っても、電気代をほとんど気にする必要がないレベルです。
ただし注意したいのは、送風モードだけでは室温は下がらないということ。
暑い日に送風モードだけで過ごそうとすると、結局体調を崩して医療費がかかってしまうなんてことにもなりかねません。
適切な使い分けが節約の鍵になります。
冷房との比較
送風モードと冷房モードの電気代を比較してみましょう。
| エアコンの種類 | 送風 | 冷房 |
|---|---|---|
| 一般的な 6畳用エアコンの場合 | 1時間あたり 約0.5円〜1.5円程度 | 1時間あたり 約3円〜15円程度 |
| 14畳用の 大型エアコンの場合 | 1時間あたり 1円〜2円程度 | 1時間あたり 約5円〜25円程度 |
同じ6畳用エアコンの冷房モードの場合、1時間あたりの電気代は約3円〜15円程度です。
設定温度や外気温によって大きく変動しますが、送風モードの約10倍〜30倍の電気代がかかることになります。
14畳用の大型エアコンになると、冷房時の1時間あたりの電気代は約5円〜25円程度で、こちらも送風モードと比べると、10倍以上の差があります。
この差が生まれる理由は、冷房時には室外機のコンプレッサーが動いて冷媒を循環させているからです。
このコンプレッサーが消費電力の大部分を占めているんです。
でも、ここで賢い使い方のコツをお教えしましょう。
それは、冷房で部屋を冷やした後、設定温度に達したら送風モードに切り替えるといった方法です。
扇風機と比べるとどう違う?
エアコンの送風モードと扇風機、どちらも風を送る機能ですが、電気代や効果にはどんな違いがあるのでしょうか。
詳しく比較してみましょう。
扇風機はさらに安い
電気代だけで比較すると、扇風機の圧勝です。
一般的な扇風機の消費電力は15W〜40W程度で、1時間あたりの電気代は約0.3円〜1円程度になります。
エアコンの送風モードよりもさらに安く済みます。
特にDCモーター搭載の省エネ扇風機なら、消費電力はわずか2W程度のものもあり、1時間あたり0.1円以下という驚異的な安さを実現しています。
ただし、扇風機にもメンテナンスコストがかかります。
羽根の掃除や、場合によっては買い替えも必要になります。
エアコンの送風モードなら、そういった手間はエアコン本体のメンテナンス以外には基本的にかかりません。
節約効果を最大化するなら、日中の軽い暑さには扇風機、夜間の空気循環にはエアコンの送風モードといった使い分けがおすすめです。
季節や時間帯に応じて使い分けることで、年間の電気代を大幅に抑えることができます。
到達距離や風量の違い
電気代以外の違いも見てみましょう。
まず到達距離ですが、エアコンの送風モードの方が一般的に遠くまで風を送ることができます。
エアコンは天井近くに設置されているため、部屋全体に風を行き渡らせやすいんです。
一方、扇風機は設置場所が限られるため、ピンポイントで風を送るのは得意ですが、部屋全体の空気を循環させるのはちょっと苦手。
ただし、サーキュレーター機能付きの扇風機なら、エアコンに匹敵する空気循環能力を持つものもあります。
風量については、エアコンの送風モードの方が一般的に大きな風量を出せます。
室内機のファンが大きいため、大量の空気を動かすことができるんです。
ここで節約のコツをひとつ。
部屋の構造を活かして、扇風機を壁に向けて設置してみてください。
壁に当たった風が部屋全体に回り込み、エアコン並みの空気循環効果が得られることがあります。
これなら扇風機の安い電気代で、エアコン送風モード並みの効果が期待できます。
体感温度を下げるなら扇風機+冷房併用が効果的
実は、節約効果が最も高いのは扇風機と冷房を組み合わせる方法なんです。
これは多くの人が見落としがちなポイントです。
扇風機で空気を循環させながら冷房を使うと、冷房の設定温度を1℃〜2℃高くしても同じ快適さを得られます。
例えば、通常26℃設定で使っている冷房を、扇風機併用で28℃設定にできれば、約20%の節電になります。
扇風機の電気代を加えても、トータルでは15%以上の節約効果が見込めるでしょう。
さらに、冷房で冷やされた空気を扇風機で循環させることで、部屋全体が均一に冷えます。
冷房だけだと冷気が下に溜まりがちですが、扇風機があることで効率的に空気が混ざり、快適性もアップするんです。
この方法のもうひとつのメリットは、冷房の運転時間を短縮できること。
部屋全体が早く冷えるので、冷房を止めて送風モードや扇風機だけに切り替えるタイミングも早くなります。
送風・冷房・ドライの違いを解説

エアコンには送風以外にも冷房やドライ(除湿)モードがありますが、それぞれどんな特徴があるのでしょうか。
正しく理解して使い分けることが、効果的な節約につながります。
送風は「空気を回すだけで温度は下がらない」
送風モードの特徴をもう一度整理しておきましょう。
送風モードは、室内機のファンだけを動かして空気を循環させる機能です。
室外機のコンプレッサーは動かないため、室温を下げる効果はありません。
でも、空気を動かすことで体感温度を下げる効果はあります。
風が当たることで汗が蒸発しやすくなり、実際の室温より涼しく感じるんです。
ただし、これは湿度が低い場合に限られます。
湿度が高いジメジメした日には、送風だけではあまり涼しく感じられません。
冷房で部屋を冷やした後の仕上げに使ったり、ドライモードと併用して湿度を下げながら空気を循環させたり。
単独で使うよりも、補助的な役割で使う方が効果的です。
特に夜間は、昼間に蓄えられた建物の熱が放出されて自然と気温が下がります。
この時間帯に送風モードを使えば、ほとんど電気代をかけずに快適に過ごせることも多いんです。
就寝前の1〜2時間だけ冷房を使い、その後は送風モードに切り替える方法は、非常に効果的な節約テクニックです。
冷房は「室温を下げるが電気代は高め」
冷房モードは、室外機のコンプレッサーを動かして冷媒を循環させ、実際に室温を下げる機能です。
暑い夏には欠かせない機能ですが、消費電力が大きいため電気代も高くなります。
冷房の電気代は設定温度と外気温の差に大きく左右されます。
外気温が35℃の日に設定温度を20℃にすれば、当然電気代は高くなります。
一方、外気温が28℃の日に設定温度を26℃にすれば、電気代を大幅に抑えることができるんです。
ここで重要な節約のコツをお伝えします。
冷房は「一気に冷やして、その後は高めの設定温度で維持する」という使い方が最も効率的です。
最初から高い設定温度でダラダラと運転するより、短時間で一気に冷やしてから設定温度を上げる方が、トータルの電気代は安くなることが多いんです。
また、冷房の効果を最大化するためには、部屋の断熱も重要です。
カーテンやブラインドで日差しを遮る、窓に断熱シートを貼るといった工夫をするだけで、冷房効率が大幅にアップします。
ドライは「湿気を取るが電気代は場合によって冷房より高いことも」
ドライ(除湿)モードは湿度を下げることが主目的の機能ですが、実は電気代については注意が必要です。
ドライモードには「弱冷房除湿」と「再熱除湿」の2種類があり、それぞれ電気代が大きく異なるんです。
弱冷房除湿とは、冷房運転を弱めに行いながら除湿する方法で、電気代は冷房より安くなります。
再熱除湿は一度冷やした空気を再び温めてから部屋に送る方式で、冷房よりも電気代が高くなることがあります。
多くの人が「ドライは冷房より安い」と思い込んでいますが、実際には機種によって異なります。
ドライモードの賢い使い方は、梅雨時期や湿度の高い日に限定すること。
湿度が下がれば体感温度も下がるので、設定温度を高くしても快適に過ごせます。
湿度を50〜60%に保てば、室温が28℃でも十分涼しく感じられるんです。
さらに節約効果を高めるなら、ドライモードと送風モードを組み合わせて使ってみてください。
ドライで湿度を下げた後、送風モードで空気を循環させる方法です。
この使い方なら、ドライモードだけを長時間使うより電気代を抑えながら、快適さを維持できます。
送風モードを使うと良い場面
送風モードは単独で使うより、適切な場面で使うことで真価を発揮します。
どんな時に送風モードを使えば効果的なのか、具体的な場面を見ていきましょう。
冷房後の内部乾燥(カビ防止)
エアコンの内部には冷房運転時に結露で水分が溜まります。
この水分を放置すると、カビや細菌の温床になってしまいます。
そこで活躍するのが送風モードです。
冷房を止めた後、30分〜1時間程度送風モードを運転することで、エアコン内部を乾燥させることができます。
この作業を「内部クリーン運転」と呼び、多くの機種に自動機能として搭載されています。
内部乾燥を怠ると、エアコンから嫌な臭いがしたり、アレルギーの原因となったりします。
また、カビが繁殖すると冷房効率も悪化し、結果的に電気代が高くなってしまうんです。
送風モードによる内部乾燥の電気代は、1回あたり1円程度です。
年間を通して考えれば、メンテナンス費用の節約にもつながる非常にコストパフォーマンスの高い使い方です。
自動内部クリーン機能がないエアコンでも、手動で送風モードを30分程度運転すれば同じ効果が得られます。
毎日の習慣にすれば、エアコンの清潔さを保ちながら電気代も最小限に抑えることができますよ。
部屋の空気を循環させたいとき(冷房と一緒に使う)
部屋の空気が淀んでいるときや、冷房の効果を部屋全体に行き渡らせたいときにも送風モードが活躍します。
冷房運転中に時々送風モードに切り替えることで、冷気を部屋全体に循環させることができます。
特に広い部屋や、間取りが複雑な部屋では、冷房だけでは冷気が均等に行き渡らないことがあります。
そんなときに送風モードを併用すれば、冷房効率が格段にアップするんです。
具体的な使い方としては、冷房で設定温度まで冷やした後、10分間送風モードで空気を循環させ、再び冷房に戻すといった方法があります。
この方法なら、冷房の運転時間を短縮しながら、部屋全体を快適に保つことができます。
また、料理中やお風呂上がりなど、一時的に室温が上がった場合にも送風モードが有効です。
温まった空気を循環させることで、体感温度を下げることができるんです。
この場合、すぐに冷房に切り替えるより、まず送風で空気を動かしてから冷房を使う方が効率的です。
この使い方のコツは、送風の風量を強めに設定すること。
空気を効率的に循環させるためには、それなりの風量が必要です。
といっても、送風モードなら風量を強くしても電気代はそれほど変わりませんので、躊躇せずに強風量で使ってみてください。
暑いときはNG!送風だけだと熱中症リスクに
送風モードの注意点も押さえておきましょう。
室温が30℃を超えるような暑い日に、送風モードだけで過ごそうとするのは危険です。
送風モードは空気を動かすだけで、実際の室温は下がりません。
むしろ、室外機から出る温風で室温が上がることもあります。
熱中症は室内でも発生します。
実際に、熱中症による救急搬送の約半数は住宅内で起こっています。
命に関わることですから、暑い日は必ず冷房を使用しましょう。
ただし、節約意識を持つことは素晴らしいことです。
暑い日でも上手に冷房を使えば、電気代を抑えながら安全に過ごすことができます。
例えば、日中の最も暑い時間帯だけ冷房を使い、朝夕の涼しい時間は送風や扇風機を使うといった工夫です。
また、冷房の設定温度を28℃にして、扇風機やサーキュレーターと併用する方法も効果的です。
体調管理と節約、両方を実現するためには、天気予報の最高気温をチェックして、その日の冷房使用計画を立てることが大切です。
30℃以上の予報が出ている日は、迷わず冷房を使用する。これが安全で賢い節約方法です。
まとめ
エアコンの送風モードは1時間あたり約0.5円〜1.5円と非常に経済的で、冷房の10分の1以下の電気代で使用できます。
ただし、室温を下げる効果はないため、単独使用より他のモードとの組み合わせが効果的です。
特におすすめの使い方は、冷房後の内部乾燥でエアコンを清潔に保つこと、扇風機との併用で冷房の設定温度を上げて約10%節電すること、そして冷房で冷やした後に送風で空気を循環させることです。
ただし、室温が30℃を超える暑い日は熱中症リスクがあるため、送風だけでなく必ず冷房を使用してください。
送風モードを賢く活用して、安全で快適な節約生活を実現しましょう。